前回の続き
2013年春に大リストラを行い、旧石丸電気の秋葉原本店と上尾店、旧ミドリ電化の柏沼南店(ここにはミドリ電化の地域子会社である株式会社ミドリの本社が置かれていた)とロックシティ守谷店を撤退し希望退職を募るなど関東での展開を大幅に縮小したエディオン。
2013年10月25日には埼玉県秩父市にエディオン秩父店を出店するが、これはヤマダデンキがベスト電器を買収するに当たり、公正取引委員会より競争関係のない地域が発生する場合は他資本への売却を求められたことによる。
ベスト電器とヤマダデンキが同資本になることで競争がなくなる地域は主に九州地方であったが、埼玉県の奥地になる秩父地方も家電量販店はヤマダデンキとベスト電器しかなくエディオンへ譲渡することになった。
九州地方についてはベスト電器の店舗をエディオンへ譲渡したのに対して、秩父だけはヤマダデンキの店舗をエディオンへ譲渡している。
これは秩父のベスト電器は矢尾百貨店によるフランチャイズ店舗で、推測だが矢尾側がエディオンのフランチャイズへ鞍替えすることを拒否したのだろう。
エディオンは2013年春に大リストラを敢行していて関東からの撤退は時間の問題とされており、地域密着型の営業を行っている矢尾百貨店からすれば信用に足る相手ではないはずである。
そんな会社と組むなら引き続き信用のあるベスト電器と組み続けたいというのは自明の理。
そうして関東から消えゆく存在になると思われていたエディオンに転機が訪れる。
神奈川県伊勢原市のいせはらcomaへ進出し、まさかの関東再進出を果たすことになる。
大人の事情で出店した秩父店から3年半、移転を除いた純新規店舗としては2009年9月のららぽーと新三郷店から数えて7年半ぶりとなる出店だ。
すぐに消えるかと思いきや予想外の健闘を果たし、あろうことか2021年10月31日にコジマ×ビックカメラ伊勢原店を撤退に追い込んでいる。
その後2018年にイオン秦野店、2021年に日吉店を出店。
2022年にはホームズ川崎大師店、ダイナシティ小田原店、瀬谷店と3店舗も出店している。
そして2023年には自社ディベロッパーとなるミニショッピングセンターの246溝の口店と都市型大型店横浜西口本店を出店するに至る。
2023年では神奈川県内での店舗数は11店舗を数えるほどの勢力にまで成長した。
エディオンの企業体になってから撤退した店舗はデオデオみなとみらいジャックモール店のみと撤退もなくそれなりに受け入れられていると解釈できる。
ではなぜここまで勢力を拡大できたのだろうか。
東京エディオン時代は3企業が統合したことにより展開地域が散らばっており、ドミナント戦略を構築できなかった。
しかし2017年以降は神奈川県に出店地域を絞り、元々強力な店舗網を構築していた静岡県から地続きでの拡大戦略に成功した。
- 適度な規模感
神奈川県を地場とし拡大戦略を続けている家電量販店チェーンと言えばノジマ。
しかしノジマは小型店を中心としており、ノジマでは床を埋めきれない施設でテナントを誘致する際にエディオンが選ばれやすい。
同様の出店形態を取る企業としてコジマや上新電機もあるが、コジマは全体的に衰退傾向にあり上新電機は神奈川県内で弱い。
というわけで、これからもエディオンが地味に神奈川県内で拡大を続けるのではないかと予想していたりする。