Cyber Tera

ガジェット系・ウィルコム系ブロガー

  • 夢破れて 〜WX04K序説〜


所謂、スマートフォンと呼ばれるものを日本で最初に商業的に成功させたのがウィルコムと言われている。2005年末に発売されたWindowsMobile搭載PHS端末、W-ZERO3のヒットによりウィルコムは一気にスマートフォン戦略に舵を切る事となった。元々有料コンテンツの少ないウィルコムであったので、料金収集代行による利益を重視しなくても良く、足かせが少なく加入者数が少ない上、そういった足かせのため身動きの取りにくい他社との分かりやすい差別化をはかれるからだ。

2007年に発売されたAdvanced/W-ZERO3[es]WS011SH)は大ヒットとなり、このままウィルコムの前途は揚々なものと思われていた。しかし2008年、事態は一変する。黒船iPhoneの日本上陸だ。iPhoneそのものは2007年に初代が発売されたが、GSMのみの対応だったので、日本にはしばらく入ってこない物と思われていた。しかし2008年にはW-CDMAに対応したiPhone 3Gが発売され、ソフトバンクモバイルが独占販売権を収得し発売に至る。ソフトバンクモバイルの社長孫正義氏はボーダフォンK.Kを買収した頃よりiPod携帯を出す等と発言しており、この発表は渡りに船だった。

WindowsMobile陣営としては当然迎え撃たなければならない。ウィルコムは当時WindowsMobileの旗振り役としての立場も持っていた訳で、黒船iPhoneを洗練されたWindowsMobileで対抗するという事で、所謂ガラケーと言われる物の機能で代表格とされるワンセグを搭載したWillcom 03(WS0
20SH)を投入した。しかしこれまでWindowsMobileが蓄積していた物を、iPhoneはすべて過去の物として洗い流してしまった。そしてWindowsMobileは競争力を失い、対抗規格としては新興勢力Androidにその席を譲る事となる。

ウィルコムはその後、これら端末政策や料金政策の失策を重ね、外的環境の変化により重たい次世代の投資に必要なキャッシュを用意出来なくなり倒産しソフトバンク・グループの軍門に下る事となる。

会社更生法の申請をして倒産した後、ソフトバンク・グループによる支援が決まる前、最後っぺとしてHybrid W-ZERO3WS027SH)を投入するが、あまりにも端末そのものの完成度が低く、結局市場に受け入れられる事はなかった。

次回に続く