Cyber Tera

ガジェット系・ウィルコム系ブロガー

CeeU Yokohama開業でエディオンにSee Youしてしまうのか?

時は遡ること1990年代の終り、2つの家電量販店が社運をかけて超巨大な都市型大型店を出店したことが有った。

ラオックス仙台店とひろしまMALLベスト電器広島本店である。

pc.watch.impress.co.jp

 

toshoken.com

BiVi仙台駅東口(元ラオックス仙台店)

この両社はNEBA(Nihon Electronics Bigstore Associaton)という地域系の家電量販店による組織の加盟社で、パソコンブームによって目下の業績は好調であった。

NEBA加盟社は過当競争を避けるために、地域に根ざした営業を志向し他地域への進出を禁忌としていた。

 

しかし同組織の加盟社ながら領海侵犯を試みるダイイチ(デオデオを経て現在のエディオン)や予定調和を好まないコジマやヤマダデンキ、元はカメラ屋ながら家電のシマを荒らしに来たビックカメラヨドバシカメラといった業界の風雲児たちによる競争にさらされていった。

そこでNEBA加盟社であるラオックスベスト電器も果敢に他地域への進出を試みることになった。

 

その切り札として出店したのがラオックス仙台店やひろしまMALLベスト電器広島本店である。

 

ラオックス仙台店は当時ラオックスが東北進出を試みており、仙台駅前に国鉄清算事業団が所有していた広大な土地を手に入れることでラオックス史上最大級の店舗を出店した。

 

ベスト電器はダイイチの本拠地である広島市内での史上奪還を目指し20年の借地権を得て自社ビルを建造。当時は日本最大の家電量販店としての威容を誇っていた。

 

ところがこの大型店の出店を機に両社の業績は急降下。

両社共に長い低迷の末、ラオックスは2009年中国の大手家電量販店である蘇寧電器の傘下に入り、ベスト電器は2012年にヤマダデンキの傘下に入ることになる。

 

それから25年、歴史を知らないのかこんな人達とは違うと慢心しているのか、この令和の世に旧NEBA加盟社でありながら都市型大型店を出店しようとする企業が現れた。

 

CeeU Yokohama

そう、エディオンである。

エディオンベスト電器凋落の歴史を間近に見ていたはずなのに、何故かこのような愚行に走った。

しかもエディオンの今の経営陣はベスト電器のことを知らないと言うならまだ理解できるが、エディオン社長の久保允誉は1992年に前身企業であるダイイチの社長に就任しているのだ。

https://www.edion.co.jp/system/files/ir-library/pdf/ja/2023-09/EDION_IR2023%28J%29_single%20.pdf

彼がベスト電器とダイイチの争いを知らないはずがない。

最もミドリ電化エディオンになったのは2005年という歴史改変*1をしているので、ベスト電器のことも都合よく忘れている可能性は高い。

 

 

余談が長くなったがCeeU Yokohamaに行ってみたのでレポを書いてみたい。

1階がイオンフードスタイル By ダイエーダイエーが運営する食品スーパーである。

 

このイオンフードスタイルという屋号はあんまり好きではない(イオンリテール運営店舗にイオンスタイルがあるのでイオンスタイルの食品特化型と誤解を招くので)。

 

横浜駅近隣には庶民的なスーパーが乏しいのでかなり集客していた。

洗剤などの日用消耗品の取り扱いは少なく、2階のハックドラッグに投げている様子。

ハックドラッグ/ウエルシアがダイエーの日用消耗品売り場を兼ねているという構成は小平店や東大島店、武蔵村山店でも見られる。

ダイエーが元々薬局であったことを踏まえると寂しい。

 

2階から上がエディオン

エディオンの売り場は2階が携帯電話、修理受付カウンターという構成。

 

携帯電話売り場で賑やかしというのはベタではあるが、関東では弱いエディオンに対して開店御祝儀が終わったあとにも人を出し続けてくれるかは疑問。

その事もあって神奈川県内のエディオンだとドコモは東海扱いにしているようだが。

 

3階は理美容家電、フェムテック、自転車売場。

 

フェムテックというのはエディオンの社長が男女同権社会を目指し娘の渡辺典子を政界に送り込むも有罪判決を食らった事を踏まえるとなかなかに皮肉が効いている。

 

自転車売場が上層階というのは不親切。メンテでくる客のことを考えると1階にあるべき売り場。

 

4階は白物家電、季節家電、公金チューチューもといリフォーム売り場。

ノジマと異なり石油暖房器具も取り扱っていた。開店時期を考えると暖房器具の在庫調整が難しそう。

 

5階はテレビとパソコン、オーディオ売り場。

テレビ売り場はヤマダデンキを意識してかニトリのソファーを展示している。しかしヤマダと比べると展示数が少ない。

ヤマダの家具はテレビの関連商品として特にソファーに注力しており、山田昇会長が電動ソファーを流行らせようと怪気炎を上げていることに比べるとしょっぱい。

テレビのアイテム数も規模の割にあまり多いとは言えない。

家電量販店の華がテレビだったのも過去のことということか。

 

パソコンも都市型としてはアイテム数が寂しい。

加えてパソコンサプライ品ももう少し頑張ろうなと。

 

ワイヤレスイヤホンの売り場はまずまず。

ハイファイ単品オーディオの取り扱いは無し。NEBA系の家電量販店で都市型店といえば単品オーディオの試聴室というのは今や昔か。

 

6階はテレビゲームやゲーミングパソコン、音楽映像ソフトの売り場。ゲーミングパソコンは他のパソコンと同じ売場にしたほうが分かりやすいと思った。

 

 

音楽映像ソフトはまずまずの品数だが、フロアの売りとして打ち出されていないことに一抹の寂しさが。

かつて石丸電気は関東でも有数の大型レコードショップだったのに。

 

7階はおもちゃのフロア。

シルバニアファミリーの展示が充実している。

 

全体として小綺麗ではあるが余白が多くアイテム数が都市型店としては物足りなさを覚える。

NEBAの都市型店が上手く行かなかった理由の一つにカメラ系の家電量販店と比べるとアイテム数の薄さにあるが、エディオン横浜西口店も同様の問題を抱えている。

 

しかもアクセスが悪く出店後の注目が収まったら集客が厳しいだろう。

CeeU Yokohamaは横浜駅の地下道で接続しておらず、横浜駅から道なりに歩くとビックカメラへ先に到着してしまうのだ。

 

ちなみにソースは失念したがエディオンの社長は2年毎に都市型大型店を出しており、これからも続けるとしていた。

というわけで今後のエディオンの去就を観測するという意味を含めて、1年後と3年後が楽しみな店舗である。

このままエディオンは会社ごと崩壊するのか、はたまた大方の予想を上回り繁盛店へと成長するのか。

*1:2023年に阪神タイガースの優勝に便乗するため、18年ぶりと称してミドリ電化復活セールを行っている