Cyber Tera

ガジェット系・ウィルコム系ブロガー

ちきりんの情愛、藤沢数希の無情

 


後から言うのは簡単 「ソッコーで仕事を辞めるべき!」 - Chikirinの日記

 

 

ちきりんと藤沢数希。この二名は所謂アルファブロガーの筆頭格として有名だ。取り上げている事象は違っているとはいえ、二名の労働観に加え人間性の違いが見て取れる。

 

ちきりんは、外野は何かあったらならば仕事をやめればいいと簡単に言ってしまうが、果たして当事者の立場でそんなことが簡単にできるのかと論じている。これは彼女が相手の立場に立って考える事をできるからこそ出てくる発想だ。一見すると斜に構えていて人を小馬鹿にしているように見えるが、その実弱いものの立場で考えることができ、慈しみを持ち合わせている。

 

一方藤沢数希はすき家が誇るビジネスモデル「ワン・オペレーション」(通称ワンオペ、店番を一人ですること)で疲弊する労働者に対して放った一言。ワンオペの危険性だと詳しいことを知らずに語るいい加減さもさることながら、根本的な問題は相手の立場に立って考えることができないということ。彼は相当に水準が高く、世間で言う勝ち組という括りに入るが、その勝ち組という立場を全てのものさしとしてしまうから、弱いものが置かれている気持ちに全く考えが及んでいないのだ。ちなみにホリエモンこと堀江貴文も彼の発言に賛同していたが、彼の場合はそんない辛いならやめれば良い、わざわざ辛いことをする必要性があるのか、という彼が元来持つエピキュリアン的な考え方によるものなので本筋とは関係がない。

 

この手の、立場が高くその立場でしか物事を捉えられない輩は私のような弱者からすれば厄介この上ない。

 

ただし本当の敵は、弱いものの立場で考えられ、弱いものの気持ちが理解できるが慈悲の心を持ち合わせないような人間だ。それについてはまたの機会に。

これが俺の味

前々回にステーキけんの凋落を書いたら、2chにコピペされてて結構アクセスが稼げた。せっかくなのでもう少し突っ込んでみる。

看板メニューの味替えは危険な行為で、迂闊に手を出して失敗している企業も枚挙にいとまがない。有名なのがコカ・コーラにおけるカンザス計画。1985年、当時コカ・コーラは味の評価でペプシコーラに惨敗していた。そこでペプシコーラに似せた味に変え、巻き返しを図ったが元々のコカ・コーラの味を愛していた人々から受け入れられず、かえってシェアを落とし結局元に戻したのだ*1

また国内においてもサッポロ一番カップスターが大幅にリニューアルするも受けず、昔の味を再現した復刻版が好評だったために復刻版を通常版に昇格させた事もあった*2

 だからけんも不味いと騒いでいる人の裏に黙ってその味を好んでくれている人達の存在を信じ、安直な味変えは避けるべきだった。

しかも運営会社のエムグラントフードサービス社長井戸実氏は

不味いと言うクレームは無視する。|ロードサイドのハイエナのブログ

のエントリーにおいて

 しかし根本的な部分 例えば肉材そのものだったり ソース類の味 カレーのルー(調理過程のレシピ) ハンバーグのパティの具合 等 の基本部分に改善は考えません。 「不味い」と言われるクレームについては そのお客様の嗜好の問題。と割り切って一切の対応をしません。

 と言い切っているのに、結局は肉が硬いというクレームに屈しているのだ。

詰まるところ、発言にも味にも思い入れがないから簡単に過去をなかった事にし、結果が会社の存亡の危機に繋がっている。

 

リコーなホームドクター

久しぶりにペンタックスフォーラム改めリコーイメージングスクエアに行く。

 

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名前が変わってからは二回目。ペンタックスとリコーではコーポレートカラーが同じ赤なので、内外装に大きく手を入れてはいない。昔はここ新宿センタービルに直営のウィルコムプラザが入っていて、ペンタックスフォーラムとウィルコムプラザをはしごしたものだ。

今回はこちらでセンサークリーニングを依頼した。マクロ撮影の際に毛羽ゴミが映り込むからだ。最初はペンタックスの純正レンズをつけて持っていったが、よく使うレンズを見せて欲しいと言われてタムロンのレンズを見せた。タムロンのレンズは動作保証外のはずだが、毛羽ゴミがないか見てくれてブロアがけもしてくれた。大きな毛羽ゴミは見当たらないが、細かいゴミがあるので掃除するとの事で1時間ほど預ける。これで料金は1080円なのだから良心的。しかも保証期間なら無料だ。

 

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館内でこんなものを発見。見づらいけれどK-3 prestage editionだ。限定色ガンメタリックは思ったより黒に近い印象。アクリルケースに入っており触った感触は確かめられず。

 

 

 

ハイエナの敗北

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一時期社長の過激な物言いでネットで話題を振りまいたエムグラントフードサービス。社長の井戸実氏は今後10年間は僕の独壇場とまで豪語していた*1が、この所失速気味だ。最盛期に200店舗を超えていたけんの店舗はいまや142店舗と150店舗*2を割り込む事態に陥っている。さらには他社のステーキレストランの「あさくま」にフランチャイズ加盟*3するという事実上の敗北宣言すらしている。「けん」と「あさくま」では「あさくま」はより客単価が高く、新たな市場を開拓できるとしているが、けんでも過去に高単価メニューの発売をしているので、敗北宣言と受け止められるのもやむなし。さらに今人気沸騰中の「いきなりステーキ」(ペッパーフードサービス系)にあやかった「鶴亀屋総本店」なる店を系列のふらんす亭で始める始末*4井戸実社長はかつて「けん」を真似た「ステーキガスト」(すかいらーく系)を批判していたが、今や彼が真似をする立場に落ちぶれた。

 

ではなぜ、ここまでエムグラントフードサービスは落ちぶれてしまったのだろうか。まず第一に、この会社が売りにしていたのは郊外型ファミリーレストランの居抜きを利用することで出店費用を最低限に抑えられる事だ。ならば、撤退したい不振店を抱えているファミリーレストランの運営企業が同種の業態を作り上げれば、撤退した後みすみす他社に売上を渡すこと無く自社で再建が出来る。そうなると物件を確保することが困難となる。加えてエムグラントはセントラルキッチンを持たないため、セントラルキッチンを持つ大手資本系に対してコスト面で不利だ。更に決定的なのは内装で、「けん」の内装は撤退前の内装をそのまま流用しているので小汚い店舗が多いが、大手資本系は内装を作りこんで来るため、家族連れが中心となる店舗ならやはりきれいな店が選べれてしまう。内装経費はセントラルキッチンで原価を抑えて帳消しにするといったところか。原価率が「けん」が40%、「ステーキガスト」が35%、「カウボーイ家族」(ロイヤルホストのロイヤル系)が38%といわれているから長期戦になれば「けん」が圧倒的に不利になる。

 

次に考えられるのはメニューをコロコロ変えたことではないか。元々けんステーキは成型肉に頼らず固めの肉をそのまま出しており、アメリカンスタイルなそのワイルドさが受けていた。それを途中からミスジ肉を使うことで柔らかく(と同時に値上げ)する。さらに原価が高く厳しかったのかミスジ肉をやめ、柔らか加工(成型肉)を使った物に変える。看板メニューをコロコロ替えてしまうことでお客さんが相当離れたはずだ。

 

長々書いたけれど、結論としては思いつきでふらふらと不誠実な事をやっていると、いつかは足を掬われるよということ。穴が見つかったら即効で責められるし人も離れていくものなのだ。

 

 

 

もぐらと黄金の卵

昨日の月曜から夜ふかしを観ていた。このブログで前回取り上げた株主優待で暮らす男、桐谷さんことこと桐谷広人氏が出演したいた。最近の彼は大阪のキディランドにグッズショップを持ったそうだ。きっとビッグダディこと林下清志氏もこういう商売したかったのだろう。名言集お菓子とか名台詞Tシャツ*1、もぐらキャラクターぬいぐるみとかで荒稼ぎできそうだ。しかし今となってはだれも乗ってはくれないだろう。

そこで思い出すのはイソップ童話にある「ガチョウと黄金の卵」。黄金の卵を産むがガチョウを手に入れた男は一気に金持ちになる。しかしそれだけで満足できなくなり、ガチョウの中にはさらなる黄金が入っているはずとガチョウの腹を捌くも、腹の中には何もなく、ガチョウが死んでしまったのでもう二度と黄金の卵も得られなくなったという話だ。

 

ビッグダディもまたテレビ朝日の番組から得られるギャラで満足していればよかったものを、さらなる欲に駆られて芸能人に転向。他局に出演することで一攫千金を狙うがバラエティ番組も一周してしまい出演はなく、唯一のレギュラー番組であるバイキングもこれといった存在感を示せず、さらに番組の存亡さえ不透明だ。

 

もし痛快ビッグダディの世界でのみ生きていれば番組本の出版やテレ朝ショップでグッズ販売もあっただろうし、大金まではいかなくても大家族が食うに困らない程度の収入は得られたはずだ。日本テレビ系の石田さんチが大騒ぎは17年も取材を受けており、それだけの長寿シリーズとして生き長らえることさえ出来たかもしれない。美奈子さんが気にいらないならまた子沢山の女性を探して「嫁を入れ替え」すればいいだけの話。

 

とここまで書いていて気がついたが、そもそもそこまで計画的に動けるような人間ならば、強欲クソオヤジがエゴを撒き散らす様を見世物小屋的に紹介する痛快ビッグダディという番組が成立しなかった。一人の男が自らの強欲によって破滅する様子を描いたドキュメンタリーでありるならば、我々が得られる教訓は、エゴを抑えて思いやりをもって生きていきましょうということだ。

 

反面教師これに極まれり。

*1:Tシャツは実際に痛快ビッグダディ劇中で売りに行く下りがあった